すうさんの部屋(架空対談) |
第二回目のお客様「故・ナンシー関さん」 |
「どうも、すうさい堂主人です。今回は第2回を記念して天国の階段を降りて来て頂いたこの方、故・関直美さんです!」 「本名言わなくていいよ。だいたいなんだ第2回記念って。お久しぶりです。ナンシー関です」 「はじめまして。生前はファンでした」 「ありがとう」 「いきなりですが、死因はアレですかね。やっぱり太りすぎで心臓がパンクしちゃったみたいなところですか?」 「んーまあそんなところだと思うけども、あんたも死んだ人間に死因聞くかね?死んじゃった本人がわかるわけないじゃん」 「おお、まさに架空対談ならではの異次元ツッコミ!うれしい!」 「ところでみんな私が死んだあと何て言ってるの?」 「大方は貴重な人を失ったって嘆いてました。中には『ナンシーが批判する対象には愛があった』なんて書いてる人もいたみたいですよ」 「ははは。片腹痛い。そんなわけないだろ」 「そうですよね。僕があなたの発言で一番印象に残ってるのが、いしだ壱成あたりを指した『濡れた子犬系』ってやつです」 「あんな顔して、大麻で捕まったよね」 「麻薬犬、ってところですか」 「ははは!面白いけど意味ちがうよ」 「あちらの世界でもテレビは毎日見られてますか?」 「うん。スカパー状態。私は生前これといって悪い事もしなかったから、こっちでもわりといい待遇で迎えられてんの。『もっと改善できますよ』とも言われてんだけど、自分はやっぱこれが一番落ち着くというか」 「好待遇って、男が何人も傅いてくれるとか、そういうことですか」 「まあそうなんだけど。ねえ。うざいし」 「うん、そうかも。僕も常時女の子に傅いてもらっちゃったら『君、いいから帰って』とか言いそうですもん」 「ホモなの?」 「いやそういうわけでは。一人がなんか好きっていうか。男なら好きなタイプはリリー・フランキーさんなんですけど」 「リリーさんか。最後の方で対談の仕事したなあ。死んだあとに本になったから印税もらい損ねた」 「あの『小さなスナック』!大好きですよ。どうですかリリーさんは?男として」 「あのねえ、彼に惚れた女は地獄だよ。本当に。たしかにダメ男のフェロモンはプンプンしてるんだけどね」 「犬っぽくないですか?」 「たしかに、なんか犬っぽい」 「負け犬系とか?」 「あああ、それそれ」 「最近ブレイクした人はご存知ですか?綾小路きみまろとか」 「あれは、あの髪型といい、変な燕尾服みたいな衣装といい、完全に計算済みだね。どんな毒舌を吐こうとも、イヤミにならないようにコーディネイトしてる。まあ、あれだけ中高年をボロクソに言ってるのに『癒し系』とやらで捕らえられてるところはすごい」 「お、誉めてますね」 「でもオッサンオバサンは自分らのことをボロクソ言われてるのに、意識的にしろ無意識的にしろきみまろの事をどっかで卑下してるから笑ってるわけじゃん。きみまろはきみまろで、その辺の事も全て計算済みでステージに立ってるわけじゃん。その構造がどうもひっかかる。みなさん楽しく帰るのかもしんないけど、なんか屈折してないかっていう」 「CDも売れまくってるんですよね」 「でもあと半年もすればブックオフの均一コーナーに大量に出回るよ」 「そういえばブックオフ300円CD常備ミュージシャンっていますよね。『椎名恵』とか」 「あっはっは。曲は知らないけど、必ずある」 「『氣志團』はどうですか?」 「あの房総与太郎なんとかかんとかっていう。あれは本人たちが最高にカッコいいと思ってるスタイルで、それが受け入れられたというのはとてもラッキーだと思う」 「あのリーゼントを斜めから見たときのカーブとか凄いですよ。もしスタイリストがやってるんだとしたらノイローゼになりますよ、多分」 「変な形に頭剃ってる奴もいるね。まるでマンガ」 「ボーカルが『綾小路 翔』っていうんですよ」 「やっぱり何か共通したコンプレックスの裏返しなのかなあ。でも私は米米クラブなんかよりずっと好きですね」 「僕もです。ところで何かやり残した事とか、ありますか?」 「まあなくもないけど。それなりに首尾一貫した人生ではあったかなとは思うけどね。テレビ見てコラム書いて消しゴム彫って」 「『消しゴム版画家』って凄いですよね。めちゃめちゃ上手でしたしね。でも車の免許もお持ちで結構あちこち行かれていたみたいだし、わりとアクティブだったんじゃないです か?」 「そうかもね」 「男関係なんかは?」 「町山広美は元気かなあ」 「あ、ごまかした」 「ああ、そろそろ時間だよ。『学校へ行こう』見なきゃ。じゃあ、こっちに来たらまたお話しましょう」 と、ここでナンシーの巨体、かき消されたようにフッと消える。あとには静寂が残るばか り。 (2003・4・27) |
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