【BACK FROM THE GRAVE】(奴らを墓から叩き起こせ!マイ・フェイバリット!)
010【私的「ブラック・ミュージック」10選】

 なんか大胆な試みを。黒人音楽なんて別に詳しくないのに。とはいえ最近ブルースが面白くなってきたので、乏しい知識をかき集めて挑戦してみたくなったのだ。ガレージ野郎からブラック界への道場荒らし!なんちて。怒っちゃや〜ん。ちなみに甘茶ソウルには興味がないので、そういうのは入ってません。黒人以外のブツが混入している可能性もあります。由緒正しいブラック・ミュージック・マニアの方は読まないで下さい。

★スクリーミング・J・ホーキンス[ブードゥー・ジャイブ]

 一番最初に買ったクロもの。ってここから入るか?普通。ジャームッシュ「ミステリー・トレイン」にホテルの受付役で出ていたあの人です。本業はR&Bシンガー。とはいってもステージでは棺桶からマントを羽織って登場するようなバカタレですが。
代表曲は「アイ・プット・スペル・オン・ユー」。ホラー的ケレンミたっぷりの「アリゲーター・ワイン」「フレンジー(BOSSのCMで使用)」などが出色。一番すごいのが「便秘のブルース」なる曲で、便がようやくめでたく通過するところを「スプラッシュ!ブッ!ブバッ!ブババッババババ!」と「口で」表現する!んでラスト「フィルオ〜ラ〜イ♪」だって。黒人音楽史上最高にくだらないノベルティ・ソング。

★ハウリン・ウルフ[リアル・フォーク・ブルース]

 わが国にも自らをギターウルフ、ベースウルフ、ドラムウルフと名乗る3人組がいるが、たった一人で自分の事を「ハウリン・ウルフ!」と名乗る勇気をまず称えたいと思う。日本で言えば「夜桜銀二」とかつけちゃうくらいすごい。しかし当然ながらハッタリではない。比類するものがないダミ声。ほとんど浪曲。しかし美しいダミ声である。ロック・フィールドのファンも多し。
最初のブルースへのとっかかりとしてはこの人のこのアルバムが最適かも。マディ・ウォーターズの2倍速。狼の雄叫びに聞き惚れよ。

★ボ・ディドリー[ボズ・ブルース]

 これはロカビリーの名門、エイス・レーベルから出ているベスト。全編「ズンタタッタ・ダダッダ」のジャングルビート。とにかくマラカスが過剰に大活躍。ギターもエコーかけすぎ。奇形的である。ビンテージ変態音楽。「フー・ドゥー・ユー・ラブ」なんて本当にいろんなガレージバンドがカバーしてるしなあ。「M〜A〜N〜、メェ〜ン」のオリジナルもこの御大。黒ぶちネガネに長方形ギターを抱えた湿っぽい親分である。傘下の若衆も多数抱える。
ちなみに小室哲也が日本で流行らせようとして失敗した(1曲、勘違いの曲が勘違いのまま売れた)「ジャングル」とは関係ありません。念のため。

★マディ・ウォーターズ[ベスト・オブ・マディ・ウォーターズ]

 この親分も忘れてはいけない。こいつは自らを「泥水」と名乗っている。子供のころのあだ名らしいが、う〜ん、なんか「スネオヘアー」もがんばれ!と言いたくなるね。で、ナマズそっくりのイイ表情で歌うのである。泥水をびっちゃんびっちゃんはねかしながら沼から上がった淡水魚の化け物。洗い立ての服に泥まみれで抱きついてきやがる。ブルースが枯れてる?どこが?グチャグチャでギトギトではないか。とにかく「フーチー・クーチー・マン」etcを聞かなきゃ始まらない。何もかも!

★ジョン・リー・フッカー[アイム・ジョン・リー・フッカー/ビッグ・ソウル

 さらに地獄のブルーズ&ブギー・ストンパーを。素晴らしい日本のロイク音楽超肩入れレーベル・P−ヴァインより発売されている2on1である。ブルース特有のベロベロ&デロンデロン感は更に加速。遅いけど早い。ゆらゆら帝国のボーカル・坂本慎太郎氏の「ピストルズは速いけど遅いというかどんくさい。テレヴィジョンはテンポは遅いけど速い」といった言葉を思い出した。
初期の弾き語りを愛する向きには「アイム」がいいと思うが、女性コーラスを従えソウルに接近した「ビッグ・ソウル」もスケベっぽくておすすめですぜ、お客さん。ジョン・リーは坂田利夫師匠に似てる。

★ローウェル・フルスン[トランプ/ソウル]

 現代のラッパー&DJからも熱い支持を受ける「モンスター名盤」である。まずジャケがいい。線路の前でなにやら裏原系を思わせるファッションのオヤジが黒人美女を2人はべらせてイイ顔で笑っている。というかニヤついている。内容はもうモダン・ブルース/ソウル/ファンクのいいとこ取り。タイトル曲に至っては早すぎたヒップホップである。ダークな詞が多いブルースであるがこのズルムケたおっさんはおそらく「おねいちゃんよいではないかよいではないか」てなことばっかり歌ってると思う(英語わからんからね!)。これもP−ヴァインからの2on1。裏ジャケ「ソウル」のフルソンの顔は笑福亭仁鶴師匠そっくり。 

★エルモア・ジェイムス[ベスト・オブ・ブルース・マスターズvol1]

 ジャッカジャッカジャッカジャッカジャッカジャッカジャッカジャッカ、ンジャジャジャジャジャジャジャジャジャジャジャジャ、ジャ〜ジャ〜♪ ....採譜ができないのでンジャジャジャで表現してみました。とにかく、誰でも知ってる例のリフ。ジミー・ペイジも尊敬するブルース大幹部(マスター)。ちなみにドリフ全盛時のいかりや長介に似てる。代表曲「ダスト・マイ・ブルーム」をはじめ、これでもかこれでもかと「例のヤツ」がぎっしり。混ぜ物なしの純度100パーセント。ヒィヒィ言ってもらいましょう!

★V/A[トーキング・トラッシュ!ルーキー・ドゥーキー!]

 こちらはガレージパンク専門レーベル「クリプト」の編集版。パンク的視点で黒人音楽を捉えたもの。ワイルドでチープでローカルなR&Bが目白押し。とにかく濃いい。こんなに出ちゃったあ、って感じ。どれも素晴らしいが特にぶっとんでるのが1曲目、バンカー・ヒル「ザ・ガール・キャント・ダンス」である。これはもうパンク以上にパンク!黒いハードコア!破裂音ギリギリまで絶叫し突っ走る!バンカー・ヒル〜ピストルズ〜ディスチャージと並べてみてもなんら違和感なし!おっとこの曲のバックはこれまたガレージ・ギタリストの大御所リンク・レイではないか!こりゃー誰も勝てねえよ。とにかくこの人は本当にマイナーなので詳細は謎なのだが、アルバムがあればぜひ聞いてみたい一人である。バンカー・ヒル!夜空を見るたび思い出すがいい!!

★ザ・ローリング・ストーンズ[ザ・ローリング・ストーンズ・ナウ!]

 黒人に死ぬほど憧れた5人のえげれす人が結成したのがこのローリング・ストーンズというバンドである。現在もそのうち3人が同じバンド名で活躍中。なぜかいまだに人気者。なんちて。初期のストーンズが他のビート・バンドと一線を画しているのはそのどうしようもないチンピラ臭さ、粗暴さである。ミック・ジャガーの舌足らずなボーカルの禍々しさは、テクがついていかないバンド演奏との奇跡的な融合を見せている。美しいんだってば!初期ストーンズは!
これは3枚目。黒人音楽のカバーが半分以上を占める。しかしオーティス・レディング「ペイン・イン・マイ・ハート」のカバーの説得力のなさと言ったら!いや、あるな。ヤンキーがレディースのねえちゃんに求愛してるみたいでカッコいいな。いいな、これ。

★和田アキ子[ダイナマイト・ソウル・ワダ・アキコ]

 とうとう日本人まで。いや、でもこの人は日本人に生まれたのが間違いってなくらいソウルフル。「どしゃ降りの雨の中で」なんて直球歌謡曲であると同時に真っ黒け。ライブバージョンも収録されているが、テンポアップされてびしばし「立ってる」感じ、滅茶苦茶クールです。JBのカバーもイカしてます。もちろん(どっちかというとコロッケのものまねでお馴染み)「はッのころはッ!ふったりっともッ!」の「古い日記」も収録。


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