【BACK FROM THE GRAVE】

(奴らを墓から叩き起こせ!マイ・フェイバリット!)


007【私的日本のサイケデリック10選@アシッド歌謡篇】


イカすビートに、しびれるサイケ!日本のサイケデリックのキャッチフレーズといえば何てったってこれです。ファズとハモンドでデコレートして、曲名をくねくねした文字でデザインすれば一丁あがり!サンフランシスコのヒッピーの幻想なんて犬にでも喰わしてやればいいんです!何事も上っ面をかすめとって流行らせるというのが日本のやり方なんでありますから。でもそれが意外と本質に近づいてたりするのかもしれない。向こうのトリップ・バンド、グレイトフル・デッドとかにはぜんぜん興味ないが、その当時の日本の歌謡曲やGSは大好き。時々、世界的に見ても稀有なとんでもないセンスの音楽があったりするのだ。以下、マリファナさえご法度な国のアシッド&フリーキーな音源どもです。一見、まったくサイケと関係のないようなものもありますが、そこに時代の「精神性」を感じてくだされ。

バーンズ[R&B・イン・東京]

カルトGSの中でも相当マニアックなバンド。こんなのを聞いてる人間が果たしてマトモな社会生活が送れるのだろうか?アナログだとウン万はするというコアな一枚。要するに当時のディスコのハコバンなんだけど、ぺらっぺらでイエローなグルーブが逆にカッコいい。意外とジミヘンやクリームには思い入れがないので、どうせ彼らの曲を聞くなら泡沫バンドがカバー(コピー)したヘタクソなバージョンがいい。ご多分にもれずこのバンドも「パープル・ヘイズ」とかやってます。ビートルズの「アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア」などはアシッド感まぶしてあっていい感じ(などと書いているが原曲ちゃんと知らない)。アニマルズ「スカイ・パイロット」もしかり(これは原曲ぜんぜん知らない)。曲間なしのノンストップという構成も当時っぽくて小粋。きいぽんだんしん!

オムニバス[アングラ・カーニバル]

ある意味これがニッポン・サイケの究極のサンプルかも知れない。海の向こうでヒッピーがラブ&ピースと盛り上がっていたころ、わが国ではフォーク・クルセイダースの「帰ってきたヨッパライ」がヒットして、「あーこれがナウなヤングにバカウケのアングラなサイケ音楽なんだ」とイージーに勘違いした企画ものの集合体。故にどれもこれもしょうもないテープの早回しの連続。ほとんど伝言ゲームなみの変換ぶり。その中で特にぶっとんでいるのが「ペンタラペタリコ イエイイエイ ポンタラポタリコ イエイイエイ」という狂ったサビをもつ松平ケメ子の「私がケメ子よ」(イントロはジミヘンなみにかっこいいんですよね)と、レンジャーズ(=GS愛好家の間では名曲の誉れ高い「赤く赤くハートが」を演奏していたバンド。ボーカルの痙攣唱法は「SADS」の清春を連想させる?)の「サイケ・カッポレ」。「カッポーレ!カッポレ!」のリフと曲間に原爆ネタの寸劇が入る民謡ガレージ・パンク!

寺内タケシとバニーズ[正調寺内節]

日本最古のヘウ”ィ・メタル・ギタリストと言えばもちろん寺内タケシ先生だね!これはその先生が自らのサイコぶりを最高に発揮した極東サイケデリックの名盤。最近は若い三味線プレイヤーがバンドやターンテーブルとコラボレートしたりしているが、その逆を30年以上前に彼は実践していたのだ!だからなんだ?「勧進帳」に始まり「筑波山」まで日本のトラディショナル・ナンバーをエレキバンドとしてデンデケデケデケと見事に表現。「パルプ・フィクション」のテーマにシビれて思わずディック・デイルのCDを買っちゃった君にも耳を傾けてもらいたい。ちなみに湯浅学選定による日本の5大ギタリストは寺内タケシ・灰野敬二・水谷孝(裸のラリーズ)・木村好夫・遠藤賢司である。

サントラ[ワイルドサイケを歩け]

70年代の邦画が好きだ。世界で一番好きな映画会社は「東映」と言い切ってしまおう。これは69年から75年にかけて邦画・イズ・バーニングだった頃の「劇伴」を集めたもの。 オルガンやファズが活躍するR&Bインスト・ナンバーを多数収録。特に聞きものは尾藤イサオをフューチャーしたファンク・ナンバー(ウッ!アッ!って言ってるだけなんだけど)「野獣を消せ」のテーマ、バイカー・ロックの完璧な雛型「野良猫ロック・マシンアニマル」のテーマ、梶芽衣子のレア・ナンバー「明日を生きよう」、和田アキ子のレア・ナンバー「男と女のロック」あたりだろうか。このシリーズは他にも中原昌也選曲のコンピやピンク・ポルノ映画の劇伴集などツボをつく好企画盤が目白押し。

サントラ[プレイガール&プレイガールQ]

ダンドゥビドゥビ・プレイガ〜ル♪いつ聞いてもお色気スキャットで脳がとける奇病にかかりそうになる、ジャズファンク満載の名作サントラ。コンポーザーは「旧ルパン三世」や「ジャイアントロボ」などの山下毅雄。シャバダダバパパパヤの嵐!破廉恥(おお変換できた!)過剰!なぜこれがサイケかというと「ハレンチ」はニッポンサイケの重要な要素だと思うから。ドラマ自体は見たことがないんだけど、「パンチラを見せるためにミニスカねえちゃんが戦うアクション・ドラマ」らしいです。でもこの音はおしゃれでカッコいいよ。カフェのBGMにどうでしょう。ほんの少しの勇気があれば。

ピーター[失われた神話]

ピーターのベスト盤を以前「ビジュアル系の元祖」というふれこみで売り出していたことがあったが、そんなわけないじゃないですか!あいつらがこんな崇高な精神を受け継いでいるはずがない。今手元にあるCDも1500円のペラペラな廉価盤なんだけど、この売り方はもったいないなといつも思う(多分もう廃盤)。それにしてもジャケのピーターは怪しく美しく、そして場末っぽい。昔はこのようなひとを「シスター・ボーイ」や「ブルー・ボーイ」と呼んでいたらしいが、今の「ニューハーフ」なんて呼称よりよっぽど粋である。なかにし礼全作詞による1968年レコード大賞最優秀新人賞受賞作。歌とポエトリーリーディングによる構成。オーケストラアレンジの歌謡アルバムではあるが立ちのぼってくる「むらさき色(村さ来ではない)」な雰囲気はなんともサイケデリック。名曲「夜と朝の間に」も収録。私のカラオケの18番。

オムニバス[ピーコック・ベイビー]

やっぱりこういった音楽は廃盤を集めたこんなコンピが面白い。選曲は元パノラママンボボーイズのコモエスタ八重樫。大原麗子の超コケテイッシュなタイトル曲や、現代Jポップの巻き舌唱法の30年先をゆく藤ミキの「ミニ・ミニ・デート」、ウィークエンダーでおなじみの(パッパラッパラッ・パー!ってやつ)「アイアンサイド」に日本語詞をつけたものや「ゴジラ対ヘドラ」のテーマ曲の別バージョン(ソウル風味!)、メインの女性ボーカルに対して「ウーンマイベイビイー」「オー,ハニー」「ンーフフフフフフ」とダンディズムあふれる男性ボーカルの合いの手がいい味を出してるセクハラ歌謡「月影のランデブー」や中尾ミエや奈美悦子のレア曲などキラキラ&ギラギラした音源がてんこ山盛り!

オムニバス[ドッキング・ダンス]

同じ選者によるコンピ。こちらはもう少しレア・グルーブ度高し。ああしかしここにも「私はケメ子よ」が!聞きものは「草も木もしっとり濡れてふるえている/セックス氏はどんどん歩いてゆく/森の奥の青い湖へ」「心の中にたまっていたものを/洗い落として彼は満足である」と歌われる浜口庫之介作詞による安っぽい心理テストのような「セックス氏の休日」や、「ドッキング・ダンス&ブラッキー・ダンス、トゥナ〜イ」のフレーズにしびれる、まごうことなき廃盤ソウルのタイトル曲(ここにもいた和製J・B!)、グループ名はアレだが本格的ガール・コーラス・グループ「キューティーQ」の「ファンキー・エンジェル」など。個人的に最も感動したのは「モラル・マイナス・1」なるグループによるハレンチ学園のテーマ・「ズビズビ・ロック」!作詞はもちろん永井ヒヤヤッコ豪先生!「毛皮のゴジラがこん棒ふれば 勉強ぬきだよ スカートめくり 身体検査だ ぬげぬげどん」「十兵衛ビキニが ボインとはずみゃ マコちゃんブラウス プリっとはねる」などなど天才ぶりをいかんなく発揮。ラストはコント55号のテーマのパヤパヤスキャットでシメ。

幻の名盤解放同盟[ダイナマイト・ロック]

梅宮辰夫は皮ジャン・皮パン・ナチスの制帽という日本のビザール・ファッションのオリジネーターである。これは「不良番長」時代ブイブイ言わしていたころの名唱が堪能できる。不良番長シリーズは自分も何本か見たがタイトルと内容がまったく一致しない。オープニングは仮面ライダーそっくりのイントロで迫る「ダイナマイト・ロック」!「おれは乾いた暴れ者 ちょっかい出すなよ ぶっとぶぜ〜 ダイナマイト・ダイナマイト・ダイナマイト・ロック〜だぜ〜」と詞・曲・アレンジともまったくスピード感のない日本バイカーロックの先駆!しかし高速を標準スピードで走るほどおっかない行為もそうはあるまい!「こいつを使って こいつで泣かせて そのうちこいつが金を生む」とうたわれるヘコヘコしたアレンジも秀逸な「シンボル・ロック」もグレイト!「負けるんじゃねえぜシンボルちゃん、シャンとしてシャンと」等の名セリフ入り。その他、超クールなジャズナンバー「暗い夜」「テストパターン」(古谷充とテストパターン)や、スティールギターがスリラー音楽の雰囲気を醸すムード歌謡の隠れた名曲「古いギター」(レイ斉藤とブルースターズ)もいい。そして!故谷岡ヤスジがあらゆる自分のマンガのエッセンスをぶちこんでじゃる気なさそうに歌う「ヤスジのオラオラ節」!ドバドバドバドバ鼻血がブー、パンタロンのカワイコちゃんがチカチカするんだもーんってね。

幻の名盤解放同盟[あなたと死にたい私]

70年代ピンク女優・内田高子による艶っぺえお歌とポエムによる企画モノ。これ聞いて抜いていた人は当時絶対いたはず。このアルバムがメインの復刻盤なのではあるが、それを凌ぐ素ン晴らしい(根本敬風)アーチストが収録されているところが本作の本当の聞きどころ。まずは梶芽衣子の2曲・「はぐれ節」は安っぽいホーンがカッコいいいわゆる「東映ファンク」(ただ今命名しました)。もう一曲は「修羅ー・・・地獄ー・・・」と呪詛のリフレインがすごい「牙のバラード」。この人の声のムードは本当によくって、何で単独CDが発売されないのか不思議だ。個人的にはポイズン・アイビー(クランプス)、椎名林檎と並ぶ3大女性ロッカーです。もう一人は、出たあ。これぞ聞くズリネタ。元祖巨乳・池玲子。とにかく甘い甘露甘露なエロ歌謡「誘惑」と、ビシッビシッ!と鞭の音が鳴り響き「あっ!あぁん!あはん!」と池玲子の悶え声がイントロを飾る(というか全篇悶えっぱなし)奥村チヨ・「恋の奴隷」の超絶カバー!「奴隷」のみを拡大解釈した模様です!これはすごいよ。リスペクトなんてもんじゃないです。サビの部分は歌を忘れてしまってあはんあはん悶える(だからいつもそばにおいてね〜のところ)原曲に対する本番行為。



次回は「ダーク・サイケ」篇!



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