【BACK FROM THE GRAVE】

(奴らを墓から叩き起こせ!マイ・フェイバリット!)


006【私的日本のロケンロール10選】


80年代、B5サイズの宝島を読んで育ったわけです。故にリアル・ロック体験と言うとこれは圧倒的に洋モノより和もの。しかし「ロック」だとえらく幅広くなってしまうので(吉川こうじあたりまで自称ロックミュージシャンを名乗りかねない)、「ロックンロール」限定。更には英語のROCK&ROLLではなく、日本語表記として正しい「ロケンロール」名盤10選!ロケンロールとはまずスタイルありきである。これはスタイルに殉死する事ができる崇高な精神をもった10枚である。「でも俺らスピリットはロックだから云々」などの戯言は一切言わない正しき人びとである。昔、宝島でリアル・ロック特集号とかいうのがあって、その中で鳥井賀句というライターがロックの名盤を見開きで20枚ぐらい紹介するコーナーがあったんですが、そこにはツェッペリンやクリームなどがなんと外されていて、その代わりにストゥージスやクラウス・ノミなんかを載せちゃっていたわけです。これが当時16歳ぐらいの俺にはカッコよく見えましてですね、この見開き2ページは後々自分にとって影響大だったと思います。で、今ごろ、こんなところでこんなことをやっておるわけです。ではいにしえの名「ディスク・ジョッキー」のようにいきまっしょい。ビートでゴーゴー、ゴーズ・オン!

ジ・ミッシェル・ガン・エレファント[ギヤ・ブルーズ]

TMGE大ブレイクの一枚。このアルバムは他のどれよりもどす黒くねばっこい。でもものすごく売れたのである(次作「カザノバ・スネイク」はこの半分のセールスになってしまったらしい)。まず、タイトルがカッコいい。「ウエスト・キャバレー・ドライブ」にはじまり、「サタニック・ブン・ブン・ヘッド」「フリー・デビル・ジャム」「ボイルド・オイル」「スモーキン・ビリー」など、日本人故にネーミング可能な粋な英語のタイトルが並ぶ。ノドに悪魔が巣食う男が歌うグラサン越しのキラー・ブルーズ!

MAD3[ジャック・ザ・バイオレンス]

現世のはじめ人間ギャートルズ(原始人)による、ワイルド・ファズ・インストゥルメンタル・ロケンロール!最近の日本語オリジナルはうーんどーかなーと思うが、この永井豪「バイオレンス・ジャック」に捧げた全曲インストのファーストは文句なし!パイレーツ、デイック・デイルや「ウルトラQのテーマ」のカバーからシャドウズみたいな曲なども収録されているバラエティに富んだ仕上がり。ラスト2曲「キング・ピラミッド」「バララギ」を続けて聴いた日には思わず黒山羊をいけにえに捧げたくなるような背徳的な感情を抱かせる。爆音による礼拝曲。いつかエクソシストのテーマをカバーして下さい。

ギターウルフ[ウルフ・ロック]

極端なことを言えば、個人的にはインディーズ時代の3枚の「最悪の音質」こそがウルフである。正確にはそいうものを自らの美意識のもと「これが最高なんだ」と流通させてしまう姿勢がカッコいい。誰も文句言えません。「ロック、ロック、オオカミ・ロック!ワオーーーン!!」という雄叫びで幕を開ける、アメ公も驚いたこのファーストは歌の部分が極端に少ないガレージ・インスト的なノリであるので、ウルフ・グルーブも最高潮(このレッツゴーな勢いはやはりグルーブである)。リンク・レイより100倍凶悪な「ランブル」も収録!あと「グローリア」も!

内田裕也・尾藤イサオ[ロック、サーフィン、ホッド・ロッド]

店主プロフィールで「好きなロックンローラー・内田裕也、嫌いなロックンローラー・尾藤イサオ」なんて書いているけど、現在の彼らの立ち位置の話なわけである。グラサンに禿げ上がった金髪でいまだに帝王として君臨する内田裕也も、「夜もヒッパレ」で最近のJポップをに歌って世間にご機嫌を伺っている尾藤イサオもこの64年に出た共演アルバムではスタート地点は同じだった。ただ彼ら2人のエルウ”ィスやリトル・リチャード観の違いが生き様をまったく分けてしまったのではないかと。ユーヤさんはエルウ”ィスにデーモニッシュな何かを感じ、イサオ君はヒットポップス的な捉え方をしたんじゃないかと思う。どちらが歌が上手いかといえばもちろんイサオ君なんだろうけれども、ユーヤさんのカン高い声にこそロケンロールは宿っていたのであった。「アウターリミッツ」のイントロを強引に結びつけた「ツイスト&シャウト」ではビンテージ「シェケナベイベエ!」が聴ける。

RCサクセション[BLUE]

RCがロックバンドとしての音を出していたのは個人的にはここまでだと思う。このアルバムはかなり高音を強調した作りで、非常にガサガサと荒っぽい印象を受ける。録音メーターもギリギリだったんじゃないだろうか。今聞くと「ロックンロール・ショー」や「ガ・ガ・ガ・ガ・ガ(すげえタイトルだなあ)」などガレージ系DJも使えそうなネタである。珠玉のバラッド「多摩蘭坂」「よそ者」、引きこもりを予見した「まぼろし」、ポリ公という言葉が消された「あの娘のレター」など名曲目白押し!この当時の清志朗のギラギラした魅力を見事にパッケージした名盤。

ルースターズ[ザ・ルースターズ]

リアル発狂ミュージシャン、大江慎也率いるザ・ルースターズ。様々なバンドからリスペクトされている彼らのデビュー作。この時点ではチンピラ・ファッションに身を包んだ九州のヤンチャ君が4人ジャケに写っている。少し前に深夜番組のジングルとして使用された「おれはただお前と、やぁりたいだけえっ」と直球の発情ソング「恋をしようよ(ナニ言ってやがんでえ)」、「あの娘の体思い出して、一人であれを」と歌う切ないマスタベ哀歌「どうしようもない恋の歌」、スカパンクの元祖「ロージー」などいわゆる「めんたいビート」直送便。昔はこのストレートさがあんまり好きじゃなかったんだけれども、今聴くと後期のスカした感じより全然いい。っていうか最高だ。ドゥー・ザ・ブギー!で、セカンドは少しポップ、サード以降大江ちゃんはあちらの世界へ。昔ソロになった時のライブを見たことがあったな。全然治ってませんでした。

サンハウス[有頂天]

そのルースターズの兄貴分にあたる、鮎川誠をギタリストに譲する伝説のグラム・バンド。生活感あふれる詞が持ち味である。賃貸物件の歌とか、セックスフレンドがどっか行っちまったよとか。「キングスネークブルース」や「なまずの唄」などわくわく動物ランド系も。シーナ&ロケッツ及びヤードバーズでおなじみ(というかこれを鮎川誠作曲でクレジットしてしまうのはすごい。今更だけど)「レモンティー」のオリジナルも収録。

加山雄三[EXCITING SOUNDS OF YU−ZO KAYAMA]

俺様はガレージパンク信者であるので基本理念としては「若大将より青大将」派なのだが、たまにはユーゾーのぼっちゃまロッカーぶりを楽しんでみるのもいいんではないかということでセレクト。これはGSのバンド、ランチャーズを従えた全篇英語で歌われるファースト。「君といつまでも」英語バージョンもあり(これはまあ、どうでもいいや)。ロッキン・チューンやなかなか怪しいサーフ・インストなど、これはこれでカッコいい一枚だと思う。

THE 5.6.7.8’s[ティーンエイジ・モジョ・ワークアウト]

世界に誇るガールズ・ガレージ・ロッキン・バンド、ザ・ファイブシックスセブンエイツ通称ゴロッパチの出たばっかの新作!結成されたのが80年代なので50・60・70・80年代のロックンロールを総括する、という意味でつけられたバンド名も2000年代に突入し、もはやあんまり意味なし!が、今回のタイトルに表われているように、彼女らはこの先50になろうが「ティーンエイジ」を名乗っているであろうことは国会で総理大臣が決めたのだ!故にもんだいなし!今回もグッッッッドなカバーとオリジナルを「ワーーオ!!」のスクリーミングで決めてくれてます!ストーンズもひれ伏す「ハーレム・シャッフル」や何と寺内タケシせんせいのナンバーまで収録!

東京スカンクス[Cattle Dick]

こちらも世界に誇るラスティック楽団の大親分、スカンクス初期のシングル・コンピ。アメリカン・ルーツ・ミュージックを根底に据えた音楽を亜米利加人がやると、あまりにもカントリー寄りになってしまって全然面白くないんだけど、そこはサイコ上がりの兄ちゃんたちが奏でることによりウェスタン・デキシー・カントリー・ヒルビリーなどが粋でいなせなトラッシュ・チューンに変身!ハードコア上がりのダミ声とバカ・ヨーデルみたいな歌い方をするメンバーによるオリジナルは実にドランキンでカッコいい。日本語詞はほとんどダジャレだし。昔なぜかマイナーなポテトチップスのCMに出てた。

次回は「日本のサイケデリック」です。ノー御期待!

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